2020年は主にシーバスを中心にC3で十分楽しませてもらう事ができた。思ってた以上に魚と出会えたしC3と宵姫77でライトな釣りをとことん堪能できた一年となった。今までだったらサイズは今ひとつで納得の行かない一年となっていたろうが、このスタイルにした事でそこが解消されてセイゴでも不満がなくなった。まぁでかいのが釣れるにこしたことはないんだけど。
2020年は主にシーバスを中心にC3で十分楽しませてもらう事ができた。思ってた以上に魚と出会えたしC3と宵姫77でライトな釣りをとことん堪能できた一年となった。今までだったらサイズは今ひとつで納得の行かない一年となっていたろうが、このスタイルにした事でそこが解消されてセイゴでも不満がなくなった。まぁでかいのが釣れるにこしたことはないんだけど。
C3は単に所有するだけではなくて不具合をチューニングしながら自分だけのC3を作り上げていく過程も楽しめるリールである。発売から35年以上経過したリールなのでカスタムパーツは数えるほどしか販売されてない。それでもこのリールが好きで個人ビルダーがパーツを制作販売しているおかげで今こうしてC3を使って楽しめている。販売パーツがない場合は各々が考えて工夫して、少しでもこのリールを良く使っていこうとするアイデアがWeb上で共有されているのはすばらしい事ではないだろうか。つくづく面白いリールだ。
C3はハウジングと呼ばれる五角形のボディにウォームギアが納まっている。右側面がフタになっていて三つのネジで固定してある。三つのネジは純正ではプラスねじなんだけど、メンテナンスの際に何度もフタを開け閉めしているとネジ山を舐めてしまう事がある。そこでネジ山を舐めづらく、また見た目もカッコいい六角ビスに変更するチューニングをしている人が結構いる。
色々調べてみるとネジサイズはM3規格で長さは8mmがジャストサイズ。六角ビスも沢山種類があるんだけどボディと同じ黒で探していた所見つけたのが、黒色酸化皮膜で覆われた低頭キャップと呼ばれる六角ビス。早速購入して装着してみるとスパルタンな雰囲気がノーマルのネジより五割増しでカッコよく気に入って使っていたんだけど、先日のムラソイ君に会いに行った後異変が起きた。
がびーん。錆てますやん…。まず錆に強い材質で思い当たるのがアルミニウムやステンレスだ。ステンレスビスは何種類か見つけたけど黒に色付けされたものが皆無でみなシルバーだったから却下。まぁこれは錆びないとは思う。次に目をつけたのがチタン。チタンは海水を浴びる現場で実際に使用されている錆ない金属素材だ。強度もあるし軽量な素材だがとても高価だ。六角ビスを見つけたがチタンの色そのもので黒に色付けされた物は見つけられなかった。錆びない材質のビスを探していたら図らずも軽量化まで出来てしまうチタンに遭遇してしまった。もうこれ一択しかないので黒ではないけど3本購入。一本あたり140円くらい、まぁ鉄ビスからしたら高いのだ。
で到着したので早速開封して手に乗せてみるとなんかめちゃくちゃ軽い!こんな軽くて強度は大丈夫なんだろうかと心配になるくらい軽い。で量ってみた。
カーディナルC3使いならいつかは必ず訪れるXデー。避けて通る事は許されないこのリールの通過儀礼みたいなベールスプリング折れ。それは毎日少しづつしかし確実に忍び寄り、ある日突然襲いかかってくるのです。
「ぼりっ」
その日は10月下旬、ホームでセイゴボイルを目の前に「今日は頂き!」感満載の一匹目をしとめた直後の事でした。一匹目はセイゴサイズ。ボイルを前に焦った結果、結び直したスナップが二つも着いてる焦りすぎ↓
9月中旬に記念すべき初物をゲットしたもののファイト中にまさかのハンドルぽっきり事故が発生した我がC3。家帰ってから折れたハンドル見てみるとこりゃ折れるわな細すぎたw。
重量200gを目指して肉抜きに夢中になった結果、巻きトルクに耐えられないところまで削りすぎたよ、すまんC3やっちまった。かといってC3は発売からすでに30年以上経ってるリールなのでメーカー在庫からハンドルを取り寄せ購入なんてことは出来ない。なんでもそうだけど古いものを長く使い続けようとすると現行のものを使うよりもコストがよりかかる様になっている。それでも実は前から気になってたハンドルをポチるのは早かった。NSクラフト製ROBO-CCハンドル。45エアーのマットブラックに&丸ノブスリムノブ。
エアーは肉抜きしてある分軽量化されていて、かつノーマルより5mm短い45mmを注文した。当然ハンドル長が短くなるので巻きが重くなるのを一番心配したけど思ったほど巻き重り感はなかったから一安心。このタックルで今後はアジングやメバリングなど小物釣りも楽しみたかったのでコンパクトなショートハンドルにして正解だった。こんなマイナーなオールドリールにもかかわらずガレージメイドなビルダーさんがハンドルを制作していてそれを購入することが出来る。ニッチすぎてロット数は期待出来ないからメーカーは参入しないしおのずと単価は上がる。こんな商売にならないリールのパーツ制作出来るのは好きでやってる個人ビルダーさん以外ありえないし感謝しかない。C3を楽しもうとする人たちの繋がりや土壌がWebの中で醸成されつつある。
ROBOハンドルはC3の直線的なデザインにマッチした設計で後付けによる違和感が全然ない、そして手にして解る精度の高さ。ていうか過剰クオリティーが本体クオリティーを超えちゃってる。おかげでノーマルノブから伝わってきた回転ブレが消えてしっとりシルキーな巻き心地に変わった。
もともとC3はウォームギアにベアリングが1個だけなんだけど、これで我がC3はラインローラーに1個、ハンドル内に2個追加されたので4BBとなった。これはノーマルの使用感からすればとんでもなく大きな違いなんだけどただBBを増やしたい訳ではない。この方向で突き詰めていけばその先にはステラやイグジストがあることはわかってる。でも行きたい場所はそこではないのだ。C3や3、33を使ってるアングラーがカーディナルと共に見たい風景は最新スペックの場所じゃなくて、もっとのんびりした場所なんだろう。そもそもそんな場所があるのか、いつか辿り着けるのかもわからない。気づいた頃には三途の川の畔かもしれんけど「まぁそれでもいいじゃんか」と思わせる余裕がC3にはある様な気がする。カーディナルC3に合わせるロッドを何にするか、これはC3使いの永遠の悩みであり楽しみの一つ。なんせC3は合わせるロッドによってそのカッコよさを何倍も引き立ててくれるリールだから。C3使いは思い込みのハゲしい幸せもんなのだ。
大きくはトラウト系、バス系など魚種によってある程度ロッドが絞られてくる。例えばトラウト系なら鱒レンジャーなんかのトラウト用ロッドを合わせればいいし、バス系だったら往年の名竿スライダーロッドやチマチマロッドとかで揃えてもいい。現代版カリカリロッドにももちろん合ってしまう。例えがちょっと偏り過ぎたが選択肢は多岐に渡る。でバスやトラウト用で使おうと思ってるロッドがある。購入したのは中学二年の時だから、もうかれこれ30年以上になるFenwick HMG Graphite GFS64(改)だ。このロッドは祖父が関係していて思い入れが深く手放せない。
祖父は当時年賀状を木版画で刷っていて、その刷枚数は毎年300枚を超えていた。祖母もいい年になりバレンを使っての水性刷りで毎年300枚刷るのは大変な労力を要する作業だった。中学二年の暮れにその年賀状の刷を手伝いに来いという電話が祖父からあって、朝から年賀状を刷りに手伝いに行った。版木に絵の具を染み込ませ、湿らせた年賀状を被せてバレンで圧着しながら絵の具を年賀状に写し取る作業を300回繰り返した。200枚超えたあたりでバレンと指の間に出来た水ぶくれが破裂し絆創膏を貼ってもらってまた再開。300枚刷り終わった頃にはとっぷりと日が暮れていた。「刷はイマイチだな」という刷上がりに不満な祖父の言葉に仕事とはかくも厳しいもんだと知った。そんな中でも祖母の作ってくれた昼ご飯、晩ご飯は格別においしかった。晩ご飯も食べ終わりそろそろ家に帰るという時に「今日の駄賃だ」、そう言って祖父がおもむろに封等を持ってきて渡された。お金が入っている事は想像出来たが、そもそもお年玉も現金は渡さないウチなのでお金をもらえるとは想像だにしてなかった。その場で中を開けて見る事は出来なかったのでお礼を言ってうちに帰ってから中を開けて驚いた。諭吉が三枚。ウソだろ?あの祖父が?しかもこんな大金?一日で?色んな意味で衝撃を受けた出来事でこんな大金を一時に手にするのも生まれて初めてだった。嬉しかったなぁ。
で使い道だが当然釣道具になった。今まで五千円以上の釣道具を買った事が無かったのでこれだけあればあれも買えるこれも買えると悩みに悩んだが、こまごまと安物を沢山買うより高価一点買いしようと決めた。頭の隅にあったのは田辺プロが使ってたテネシーグリップのフェニックスとカーディナルC4。でショップにスピニングロッドを見に行ったのだが新宿サンスイだったか池袋だったか、はたまた別のショップだったか全く記憶がない。フェンウィックHMGグラファイトはフェニックスと並んで当時超高級ロッドのひとつだった。チャリンコバス少年だったんで2ピースというのも移動しやすさがあったし憧れのエビ茶ブランクスとフェンウィックロゴにやられて年賀状バイト代が一瞬で消えたのだった。
それから30年の月日が経ったが未だ現役のこのロッドはグリップを改造してある。元はフロントをねじ込むコルクのダブルハンドルなんだけど購入から5,6年経ったある日、テネシーグリップにしてしまおうと思い立つ。今思えば大胆な改造だったんだけどそこは若気のいったりきたり。エンドグリップをのこぎりで躊躇なく切断してコルクグリップ突き刺してテネシーグリップに。これは田辺プロのフェニックスやスライダーフィッシングのチャリー•ブリューワーの影響がでかい。やっぱスピニングタックルの理想型はテネシーグリップ、という刷り込みが自分にはあって、これはもう死ぬまで消えない。絶縁テープで止める派とテニスラケットのグリップテープで止める派の二種類あるけど自分は絶縁テープ派。このチープな感じがたまらない。
テネシーグリップ好きの自分としてはもう一つポイントがあって、それはバット部分のブランクスの細さ。このフェンウィック64は根元は超細身だけど見た目からは想像できないほどバットパワーは強い。テネシーグリップはいつ見てもホレボレするカッコよさがある。
塗装剤を何にするか悩んだ末、ノーマルと同じ黒のつや消しに決定。ベージュやカーディナルグリーンなど色を変えてみるのも面白いかなと思ったけど、ここは無難にいくことに。焼き付け塗装みたいにプロの様な塗装は出来ないけど、なるべく塗装面は頑強で長持ちさせたい。
いろいろ調べていくと二液混合のウレタンスプレーにたどり着く。使ったのはアサヒペンの弱溶剤2液ウレタンスプレー ツヤ消し黒。これは塗装前に缶内で硬化剤を噴出させ2液を混ぜ合わせた後に吹き付けるタイプのスプレーで、翌日には硬化剤の影響で固まってしまい使えなくなる当日使い切りタイプのスプレーだ。比較的強固な塗膜が出来かつ硬化後は溶剤にも強いとか。
で併せて買ったのがミッチャクロンマルチ。これはいろいろなサイトでおすすめで塗装面の密着性を上げるプライマーだ。これを吹いたあとに塗装すると密着性があがる。
2019年末からC3のオーバーホールを始めて塗装準備が完了したのが2020年2月の極寒期。塗装は気温20度以上ないと硬化促進されないので結局暖かくなる5月まで3ヶ月も待った。その間さらに肉抜きやら内部パーツの研磨やらを地道にこつこつ進めてた。
快晴気温21度。待ちに待った5月某日、絶好の塗装日和。まずはパーツクリーナーで塗装面を徹底的に脱脂。それからミッチャクロンマルチを吹いて乾かす。ミッチャクロンは液足れするので極薄く吹くのがコツ。乾燥後いよいよウレタンスプレーを吹く。硬化剤を噴出させて缶を振りよく混ぜる。スプレー塗装のお決まりで薄く何度か塗り重ねていく。細かい塗りにくいところから進めていき、大きな塗りやすい面に移っていく。
当初はフラットなツヤ消し黒を予想していたのだが、乾燥させてみるとマットなシボ加工のツヤ消し黒になった。表面がフラットなツヤ消し黒だと使ってるうちに擦れてテカってくる事がある。凸凹感のあるスパルタンな雰囲気に予想外だけど満足な仕上がり。
ノーマル214gから200gを目指すなんて決めてしまったのであらゆる部分に穴あけちゃった。これでどれだけ軽量化できたのか後で量る時が楽しみだ。ハンドルはちょっとやりすぎた…。