10/13/2020

カーディナルC3 テネシーハンドル

カーディナルC3に合わせるロッドを何にするか、これはC3使いの永遠の悩みであり楽しみの一つ。なんせC3は合わせるロッドによってそのカッコよさを何倍も引き立ててくれるリールだから。C3使いは思い込みのハゲしい幸せもんなのだ。

大きくはトラウト系、バス系など魚種によってある程度ロッドが絞られてくる。例えばトラウト系なら鱒レンジャーなんかのトラウト用ロッドを合わせればいいし、バス系だったら往年の名竿スライダーロッドやチマチマロッドとかで揃えてもいい。現代版カリカリロッドにももちろん合ってしまう。例えがちょっと偏り過ぎたが選択肢は多岐に渡る。でバスやトラウト用で使おうと思ってるロッドがある。購入したのは中学二年の時だから、もうかれこれ30年以上になるFenwick HMG Graphite GFS64(改)だ。このロッドは祖父が関係していて思い入れが深く手放せない。

祖父は当時年賀状を木版画で刷っていて、その刷枚数は毎年300枚を超えていた。祖母もいい年になりバレンを使っての水性刷りで毎年300枚刷るのは大変な労力を要する作業だった。中学二年の暮れにその年賀状の刷を手伝いに来いという電話が祖父からあって、朝から年賀状を刷りに手伝いに行った。版木に絵の具を染み込ませ、湿らせた年賀状を被せてバレンで圧着しながら絵の具を年賀状に写し取る作業を300回繰り返した。200枚超えたあたりでバレンと指の間に出来た水ぶくれが破裂し絆創膏を貼ってもらってまた再開。300枚刷り終わった頃にはとっぷりと日が暮れていた。「刷はイマイチだな」という刷上がりに不満な祖父の言葉に仕事とはかくも厳しいもんだと知った。そんな中でも祖母の作ってくれた昼ご飯、晩ご飯は格別においしかった。晩ご飯も食べ終わりそろそろ家に帰るという時に「今日の駄賃だ」、そう言って祖父がおもむろに封等を持ってきて渡された。お金が入っている事は想像出来たが、そもそもお年玉も現金は渡さないウチなのでお金をもらえるとは想像だにしてなかった。その場で中を開けて見る事は出来なかったのでお礼を言ってうちに帰ってから中を開けて驚いた。諭吉が三枚。ウソだろ?あの祖父が?しかもこんな大金?一日で?色んな意味で衝撃を受けた出来事でこんな大金を一時に手にするのも生まれて初めてだった。嬉しかったなぁ。

で使い道だが当然釣道具になった。今まで五千円以上の釣道具を買った事が無かったのでこれだけあればあれも買えるこれも買えると悩みに悩んだが、こまごまと安物を沢山買うより高価一点買いしようと決めた。頭の隅にあったのは田辺プロが使ってたテネシーグリップのフェニックスとカーディナルC4。でショップにスピニングロッドを見に行ったのだが新宿サンスイだったか池袋だったか、はたまた別のショップだったか全く記憶がない。フェンウィックHMGグラファイトはフェニックスと並んで当時超高級ロッドのひとつだった。チャリンコバス少年だったんで2ピースというのも移動しやすさがあったし憧れのエビ茶ブランクスとフェンウィックロゴにやられて年賀状バイト代が一瞬で消えたのだった。

それから30年の月日が経ったが未だ現役のこのロッドはグリップを改造してある。元はフロントをねじ込むコルクのダブルハンドルなんだけど購入から5,6年経ったある日、テネシーグリップにしてしまおうと思い立つ。今思えば大胆な改造だったんだけどそこは若気のいったりきたり。エンドグリップをのこぎりで躊躇なく切断してコルクグリップ突き刺してテネシーグリップに。これは田辺プロのフェニックスやスライダーフィッシングのチャリー•ブリューワーの影響がでかい。やっぱスピニングタックルの理想型はテネシーグリップ、という刷り込みが自分にはあって、これはもう死ぬまで消えない。絶縁テープで止める派とテニスラケットのグリップテープで止める派の二種類あるけど自分は絶縁テープ派。このチープな感じがたまらない。

テネシーグリップ好きの自分としてはもう一つポイントがあって、それはバット部分のブランクスの細さ。このフェンウィック64は根元は超細身だけど見た目からは想像できないほどバットパワーは強い。テネシーグリップはいつ見てもホレボレするカッコよさがある。

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