11/19/2020

カーディナルC3 パーツ

C3は単に所有するだけではなくて不具合をチューニングしながら自分だけのC3を作り上げていく過程も楽しめるリールである。発売から35年以上経過したリールなのでカスタムパーツは数えるほどしか販売されてない。それでもこのリールが好きで個人ビルダーがパーツを制作販売しているおかげで今こうしてC3を使って楽しめている。販売パーツがない場合は各々が考えて工夫して、少しでもこのリールを良く使っていこうとするアイデアがWeb上で共有されているのはすばらしい事ではないだろうか。つくづく面白いリールだ。

C3はハウジングと呼ばれる五角形のボディにウォームギアが納まっている。右側面がフタになっていて三つのネジで固定してある。三つのネジは純正ではプラスねじなんだけど、メンテナンスの際に何度もフタを開け閉めしているとネジ山を舐めてしまう事がある。そこでネジ山を舐めづらく、また見た目もカッコいい六角ビスに変更するチューニングをしている人が結構いる。

色々調べてみるとネジサイズはM3規格で長さは8mmがジャストサイズ。六角ビスも沢山種類があるんだけどボディと同じ黒で探していた所見つけたのが、黒色酸化皮膜で覆われた低頭キャップと呼ばれる六角ビス。早速購入して装着してみるとスパルタンな雰囲気がノーマルのネジより五割増しでカッコよく気に入って使っていたんだけど、先日のムラソイ君に会いに行った後異変が起きた。

がびーん。錆てますやん…。

考えてみれば当たり前だけどこのビス、材質は鉄。海に行けば海水を被らなくても潮風浴びれば当然塩も吹く。そのまま持って帰って水洗いしなければ当然こうなりますわな。黒色酸化皮膜は海水には太刀打ち出来ませんでした。そもそも海辺で使用するものに鉄を選択した事が間違いでした。
普段ホームで釣りをしている場所は塩分濃度がほとんど影響しない場所なので、このビス装着してもしばらくは錆ずに過ごせていた。が、ひとたび海で遊んでしまうとあっという間に錆び付いてしまったのだ。

慌てて取り外して純正ネジに戻してからさてどうしようかと考えた。純正ネジも材質は鉄っぽいんだけどこのリールの他の部分にも使用されているネジは全く錆びていない。純正ネジは鉄ではなくマグネシムやアルミ合金などの類いなんだろうと推察。さすがに水辺で使用するものに鉄のネジは使わないだろうからこのまま純正でいくか悩んだが、海水がかかっても錆びない材質で六角ビスがないか調べてみた。

まず錆に強い材質で思い当たるのがアルミニウムやステンレスだ。ステンレスビスは何種類か見つけたけど黒に色付けされたものが皆無でみなシルバーだったから却下。まぁこれは錆びないとは思う。次に目をつけたのがチタン。チタンは海水を浴びる現場で実際に使用されている錆ない金属素材だ。強度もあるし軽量な素材だがとても高価だ。六角ビスを見つけたがチタンの色そのもので黒に色付けされた物は見つけられなかった。錆びない材質のビスを探していたら図らずも軽量化まで出来てしまうチタンに遭遇してしまった。もうこれ一択しかないので黒ではないけど3本購入。一本あたり140円くらい、まぁ鉄ビスからしたら高いのだ。

で到着したので早速開封して手に乗せてみるとなんかめちゃくちゃ軽い!こんな軽くて強度は大丈夫なんだろうかと心配になるくらい軽い。で量ってみた。

まずは純正のネジ三本で2g。このはかり小数点以下量れないので大雑把だけど。
続いて錆びてしまった低頭キャップの六角ビスは?
同じく2g。
で、新しく購入したチタンビスはというと?
さすが一本140円の超高級品、半分の1g!やっぱチタンって軽いんだな〜。
まぁこういった軽量物の測定には向かないはかりだけど単純に重量は半分になった。
見た目では錆びてしまった低頭キャップの鉄ビスがボディと同色の黒でカッコ良かったんだけど、このチタンビス装着でマイナス1g減量出来た。それと何より海で遊んでも錆を気にする事なく釣りに集中出来る様になった。これは釣り道具として見た目よりも重要な事かもしれない。ただそうは言ってもボディと同色の黒ビスがいい。今後もチタンの黒ビスを継続的に探し続けていって見つけ次第交換しよう。

C3はスペックや中身じゃなくて、殆んど100%デザインが好きで使っている。
やっぱ見た目はカッコよくあってほしいのだ。




11/10/2020

カーディナルC3 インプレ

カーディナルC3使いならいつかは必ず訪れるXデー。避けて通る事は許されないこのリールの通過儀礼みたいなベールスプリング折れ。それは毎日少しづつしかし確実に忍び寄り、ある日突然襲いかかってくるのです。

「ぼりっ」

 その日は10月下旬、ホームでセイゴボイルを目の前に「今日は頂き!」感満載の一匹目をしとめた直後の事でした。一匹目はセイゴサイズ。ボイルを前に焦った結果、結び直したスナップが二つも着いてる焦りすぎ↓

この日ボイルの出方からして「つ抜け」の可能性は十分ある、それだけ数が入ってる事が確信出来ていた。さぁ次行くぞってな感じでベールを起こした瞬間、手元に伝わる嫌な感触。
「ぼりっ」

あっ…やっちまった…。

不思議と一瞬で悟るもんなんですねC3使いは。ぱかぱか〜っとベールが力なくふにゃけてしまいました。あ〜ついに来たかって事なんですがC3を知らない方は何が「ぼりっ」と来たのか意味不明だと思いますのでこちらの画像を。
これベールアームを元に戻す為のC3のスプリングなんですが、この二回転トーション式と呼ばれるスプリングが発売当初からすぐ折れる事で超有名なリールなんです。C3と検索すればもれなくこのスプリング折れが着いてくるほど昔から各地で被害が多発しています。
このリールを使っていこうと考えるヒトはベールスプリング折れともつきあっていく事を覚悟しなければなりません。切り離して考える事は出来ない二つで一つのリールなんです。

このリールは昨年暮れに某オクで手に入れたものなので、今回折れたベールスプリングがどれほどの期間このリールに装填されていたのかはわかりません。ただ手元に届いてから釣りに出た日数は10日もない7日ほどでしょうか。一日100回ベールを起こしたとしても700回ほどしか動作させていません。

折れた右側のバネと強化バネとして現在売られている左側のバネをよくよく見比べてみると、線径はほぼ同じに見えますが内径は折れたバネの方が小さいです。強化バネの方が内径は大きくなっています。この部分が強化バネと唱ってるポイントなんでしょうか。と言う事はこの折れたバネは純正品(もしくは純正互換品)なのかもしれません。ただし30年も前からずっとこのリールの中で一本で頑張ってきたとは考えづらいので何度か交換されているはずですけどね。

C3使いはリールを手に入れた瞬間から予備のスプリングを購入しいつでも入れ替えられる様にしています。自分も何本かストックしてあり常備してるんだけど、今回は現場で折れた(ほとんどの場合釣りの最中現場で折れる)ので、夜間スプリングの交換作業はパーツの紛失に繋がる危険性が高く躊躇していました。ところが目の前では絶賛ボイル継続中。大概釣りの最中にしかもいい場面で折れる話をよく聞きます。なんでこんな時に折れるんだ!おかげで大事なチャンスを棒に降っちゃったじゃないか!もうおまえみたいな役立たずは用なしだ!二束三文で叩き売ってやる!って事で安く出てきたC3を某オクで買えたのは今や昔。2020年C3は記録的な高値で取引されている。どうしちゃったんだC3。C3はC3だろ。今も昔も変わらないスプリング折れたら諦められて売りに出されるそんなリールじゃなかったか。

話はそれたが普段だったらスプリングが折れたらそこで本日の釣りは終了である、おしまい。もしくはフタを開けてその場で交換。だが今日は違う。夜釣りで真っ暗なのでスプリング交換作業はパーツ紛失の危険性を孕んでいる。しかし年に数回しか遭遇出来ない目の前ボイル祭りなのだ。更に加えてまだ一匹しか釣っていない。これからって時なのに諦めて帰れというのか、この光景を前にして。

ベールアームに覇気がなくぱかぱかな状態になってるだけでキャストする事は出来る。キャストした後アームが開かない位置に戻して指でラインローラーに糸を引っ掛ければ巻けない事はないな。そんな事を何投かしながら練習していくと次第にキャストから巻き上げまでの一連の動作が出来る様になってきた。

「よし、コレでもう一匹だけ釣れたら今日は諦めて帰ろう」

そう思って狙っていった何投目かでドスン!と重いバイトが手元に伝わる。よっしゃコレでかいと思ったのと、ベールアームどないしよ巻き上げられるかなっていうリールの心配がほぼ同時。C3はもともと非力なリールだしそれに合わせて宵姫華77っていうロッドを使えばスズキサイズがかかったら面白いだろなって考えで揃えた道具立て。

今それなりのサイズがヒットして夢叶ってる最中なんだけど、さらにベールスプリングが折れちゃってるので、なんかハンドルが折れた時と同様に引きを楽しむ余裕が全然ない。ベールが開かない様に恐る恐る巻き上げて相手が走り出すと両手で押さえる。「ちょ待てよ。巻けない巻けない」とか「うわ〜タイムタイム!」とかおよそ釣りしてる時に出てくる台詞とは思えない事を連発。そんなやり取りを二、三分続けただろうか。ようやく観念した魚はベイトをたらふく食ってるムッチムチぱんぱんのグラマーな魚体。多分ぎり60くらいのスズキサイズ。
パンパンな魚体とは対照的なだるんだるんのC3ベールアーム。しっかりしてくれよマジで。

スズキサイズがC3でヒットしたら、という思いで一年準備してきたのでようやく思いが叶った目の前の光景に感無量。今までのシーバスタックルだったらこの程度のサイズはそれなりだったけど、C3と77で掛けるとやり取りが何倍もスリリングになるし引きも強烈。さらに今回ベールスプリング折れというC3ならではのトラブルが重なって、なんか色々とドラマチックになった。

若い時だったらベールスプリング折れた時点で癇癪起こしてC3ぶん投げて帰ってたかも知れない。これはある程度年取ってC3っていうご老体リールでのんびり釣りしようっていう境地に至って初めて獲れた魚かもしれない。ベールスプリングが折れたタイミングで今期最大魚がバイトしてくる自然の摂理も不思議なものだし、60cm程度のサイズでもC3の道具立てで釣り上げる事で、今年一年のメモリアルフィッシュになったのは間違いない。不便は沢山あるし結構イライラするんだけどやっぱこのリール面白い。